2006年01月09日 19:18
ある日、私たち夫婦と私の両親4人で食事をした時の事です。
その日の食卓には私の好物である生春巻きが載っており、父を除く母・妻・私の3人は、ベトナムの酸っぱくて辛いソースをかけて食べていました。
ところが父だけは、そのベトナムソースを使おうとせずに、しょう油をかけて食べているのです。
見かねた私が「これをかけると美味いよ」と、いくらベトナムソースを進めても、かたくなにしょう油を手放そうとせず、逆に不敵な笑みを浮かべてこう言ったのです。
「しょう油は裏切らないんだ。」
まぁこれは極端な例だとしても、日本人の心の中には、こういう漠然とした思いが少なからずあるのではないでしょうか?
日本人がホッとする事ができる庭つくりを目指すのが、私たちの目標です。
昨今よく見かけるガーデニングについて、我々の業界では賛否両論ですが、その空間が本人にとって気持ちがよく末永く愛していただける。
そういう事ならば、私は大賛成ですが、現実はそうではない事が多々あります。
かつてキレイだった芝生はアフリカのサバンナ風になり、フェンスや垣根がない開放的な庭は、お隣や通行人の目が気になって何だか落ち着かない。
なんて事もあるわけです。
どんな庭にも共通して使う事のできる、和風の要素というものがあります。
それは距離だったり視界だったり色だったりし、強烈に主張したり陰で支えて見えなかったりします。
それら取り入れつつ、建物を含めた景色や生活スタイルに違和感のない(飽きの来ない)庭を造って行きたいと考えております。
あなたは、「隠し味」といったら何を思い出しますか?
しょう油のような和風を、私たちが造る庭にも聞かせて行きたいと願っておりますし、私自身の設計課題でもあります。