読破本の紹介09

浜松の造園屋ふなこし

2006年05月22日 11:03

上の者が下の者を認めるという事がどれだけ難しいか、社会に出て組織というものに少なからず携わった事のある人ならば、良く判ると思います。

しかし、多くの固定観念に縛られているという点では、上も下も同じなのかもしれません。

・ 「若いモンには負けない」
・ 「そんなプランは成功した例がない」

・ 「年寄りに何が出来る」
・ 「古い考えだからダメなんだ」

どっちもどっちと言ってしまえば話は簡単ですが、今現在イニシアティブを握っている【上】が変わる事によって、多くの事が新しく動き始めるのもまた、偽らざる事実です。

ローマは民主制以降後、貴族層と市民層の対立により混乱を招き、近隣民族の襲撃を受けて屈辱的な扱いを受けます。

それに懲りたのかどうかは判りませんが、ローマの民主制度は、貴族という特権階級が権限を捨てた事によって、飛躍的に成長していきます。

権限のある者が多くの責務を負い、その責任の重さこそ名誉であり個人の誇りであるというシステムは、【政治建築の傑作】と称されるものだそうです。

権力と義務で動く組織ではなく、理解と尊敬によって動いていく組織。

それは、大きな組織には実現不可能な、非効率的で曖昧な組織形態なのかもしれませんが、日々を充実して過ごす満ち足りたシステムなのかもしれません。

まだまだ精進です。


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ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) 新潮文庫

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