読破本の紹介13

浜松の造園屋ふなこし

2006年07月15日 23:05

外に向いていた目を内に向けた途端、不平不満が充満するというシーンは、古今東西、枚挙にイトマが無いくらいにあります。

そして、内なる不満を外に向ける事によって解消するシーンもまた、同様なのです。

ポエニ戦役を終え、文字通り地中海世界の覇者となったローマは、平和であるがゆえに、次第に内側から膿んできます。

・ 特権階級と平民階級の摩擦
・ ローマ市民とローマ同盟国民との確執

国が富んだがゆえに起こった、保守派と改革派のこれら騒動は、全く同じパターンを持って一応の決着を見ます。

1. (今で言う)国会にて激しく争う
2. 保守派が非常事態宣言を発令
3. 改革派代表の死
4. 戦争のぼっ発
5. 戦争の終焉と両者の歩み寄り

何だか悲しい気持ちを抱くのは私だけではないと思いますが、この時代から約600年前、ローマ建国からそう経たない黎明期に、全く同じシチュエーションで保守派と改革派が争い、歩み寄った経緯を見ると、これは自然の摂理なのか?と思わずにはいられません。

しかし、と私は思うのです。

内なる不満というのは主観の問題ですから、コレを全く無くす事は不可能です。

外に敵を作る事は簡単ですが、大きな不幸もまた、簡単にもたらします。

・ 仕事そのものの魅力
・ 責任というものの重さと誇り
・ 極める事への終わり無き挑戦

我々は、たかだか10人の集団です。

内なる幸運と外なる幸運に目が向くように精進していきたいです。


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ローマ人の物語 (6) ― 勝者の混迷(上)新潮文庫

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