中央集権+地方分権

浜松の造園屋ふなこし

2007年02月10日 20:00

組織にも血の流れという物があると、微力ながら経営に携わる者として感じています。

これの良し悪しが、組織が充分機能できるかどうかの分かれ目になるのではないのでしょうか?

もっとも、血の流れを良くするためには数多くの布石をしなければいけないのでしょう。


ポンペイウスを打倒し、ついに地中海を中心とするローマ世界の頂点に立ったカエサルは、その広大な地域をまとめる為に次々と新しい施策を打ち出していきます。


【基準となる暦を決めた】

まず、多文化国家であるローマに、共通の時間軸を設けました。

人と人が交流をする上で、これは基準となる絶対的な価値基準です。

でも、それぞれの民族(国家)独自の暦も認めた。

【基準となる通貨を決めた】

ローマの金貨と銀貨を基軸とし、金←→銀交換の為替レートを固定。

(ローマ)世界中どこでも同じ価値で使用されるようにしました。

でも、それぞれの民族(国家)独自の通貨も認めた。

【標準語を決めた】

当時、言語としてすでに完成していた「ラテン語」と「ギリシャ語」を標準語とし、公の場での発言や、公文書の作成は、この2つに限られました。

でも、それぞれの民族(国家)独自の言語も認めた。

【宗教を形骸化した】

ローマ3神を国家の主神と定め、それらの神を祭る日を、国家の休日とした。

でも、それぞれの民族(国家)独自の宗教も認めた。



重要なのは

力ある者が拳を振るって主観を押し付けたのではなく、力ある者が作った利便性を提示する事によって、その主観を受け入れさせた事ではないか?

と愚考します。


便利でありさえすれば良かった。

イデオロギーは別の話。

そういうスタンスの元、カエサルの主観は基準に代わり、広くローマ世界に浸透して行ったのではないでしょうか。


全てを遺漏なくこなし、水も漏らさぬ完璧主義で組織を運営していくのでは、血が滞ってしまいます。

本当に重要なものは?利益に結びつく思考、行動とは何か?

その基準を決める為に「理念」や「社是」があり、各個人の応用を認める器の大きい組織でありたいと思っています。


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ローマ人の物語〈12〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(中) (新潮文庫)

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