科学と伝承の境界線

浜松の造園屋ふなこし

2007年05月01日 20:00

リズムに乗るまでは結構時間掛かりましたが、感覚を掴んだらスイスイ読めました。

新種の植物を求めて、

または

植物が持っている新しい効能を求めて、

主人公は奥深いジャングルへと足を運ぶのです。


主人公の目線で、日記形式に近い形で進んでいく物語は、非常にスリリングであり、胸が躍る冒険劇でもあります。

また、各所にちりばめられた植物の知識や効能も、目を離せない予備知識でしょう(あまり役に立つシチュエーションに、いたくはありませんが・・・)

しかし、この主人公の持っている視点が非常に面白いです。

彼はゴリゴリの科学者でもなければ、自然崇拝者でもありません。

そんな彼の口から出る柔らかい真相が、読む者を時折 「ハッ」 とさせます。


自らが信じるもの、それは 「文明」 かもしれないし 「自然」 かもしれない 「欲望」や「善意」だったり、「建設業」や「造園業」なのかもしれない。

信じる事によって強い力を発揮するが、

信じる事によって盲目的になりがちなのも事実です。

時折振り向いて、社会とズレていないかを確かめる。

そんな事を気付かせてくれました。


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シャーマンの弟子になった民族植物学者の話〈上〉

シャーマンの弟子になった民族植物学者の話〈下〉

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