科学と伝承の境界線
リズムに乗るまでは結構時間掛かりましたが、感覚を掴んだらスイスイ読めました。
新種の植物を求めて、
または
植物が持っている新しい効能を求めて、
主人公は奥深いジャングルへと足を運ぶのです。
主人公の目線で、日記形式に近い形で進んでいく物語は、非常にスリリングであり、胸が躍る冒険劇でもあります。
また、各所にちりばめられた植物の知識や効能も、目を離せない予備知識でしょう(あまり役に立つシチュエーションに、いたくはありませんが・・・)
しかし、この主人公の持っている視点が非常に面白いです。
彼はゴリゴリの科学者でもなければ、自然崇拝者でもありません。
そんな彼の口から出る柔らかい真相が、読む者を時折 「ハッ」 とさせます。
自らが信じるもの、それは 「文明」 かもしれないし 「自然」 かもしれない 「欲望」や「善意」だったり、「建設業」や「造園業」なのかもしれない。
信じる事によって強い力を発揮するが、
信じる事によって盲目的になりがちなのも事実です。
時折振り向いて、社会とズレていないかを確かめる。
そんな事を気付かせてくれました。
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シャーマンの弟子になった民族植物学者の話〈上〉
シャーマンの弟子になった民族植物学者の話〈下〉
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